3兆円は高いか安いか

 在日米軍移転の日本の負担は2.98兆円になったそうです(産経新聞記事)。
このことは賛否両論ですが、私は仕方のない出費ではないかと考えます。

在日米軍の基地によって自国領土が利用できないことになっている
という事実と
日米安保と、極東に展開する米軍によって日本の軍備費は抑えられている
ということのバランスの問題だからです。

 所々で見かける「在日米軍の問題がある(暴行など)」というのは、「朝鮮人は拉致をしたり、強盗したりするから国内に入れてはいけない」と同義であり、最終的には鎖国という結論(また、罪人は島流し)になるのではないでしょうか? しかし、そんな極端な結論をする人は少なく、どちらかを否定していたりするのです。
 ちなみに、在日米軍の一部が犯行を犯した→在日米軍は出てけ! では日本人も犯罪を犯すから日本から出て行くことになり、日本には誰も住めません。

 また、騒音云々で困るというのであれば、国内で米軍基地移転を行うこともできるでしょうが、これでは全経費を日本側が持つことになるでしょう。これはまったくもって日本国内の問題だからです。

 折しも米軍においても在外米軍の縮小を行っており、本来ならば(在日米軍にやさしい)日本に極東の拠点を集中させたいところでしたが、日本からも縮小を依頼されたのにそれを無碍に断ると在外米軍を縮小すると言っている事に対して矛盾してしまうので、ある程度は飲むしかないなというのが米軍の意向ではないかと考えます。

 ここで、外国に移設する費用をなぜ日本が負担するのかをもう一度考えたいと思います。

例えば、建物の立ち退きを住民に要求するという事象で考えると、
立ち退きをしてもらいたい家主側は引越の費用はもちろんのこと、場合によっては引越先の敷金・礼金までも支払うことでしょう。そこまでしないと“立ち退く”と“居座る”の選択肢で立ち退くことへのインセンティブが生まれないからです。

上の例で居座った場合には、家主側が実力行使に出る可能性があります。

これを日本と在日米軍に当てはめてみましょう。
家主である日本が住民である在日米軍に対して実力行使、この場合、おもいやり予算の廃止・土地利用料の請求・日本の国内法適用などを行ったとします。在日米軍がとると思われる行動は本土への撤退でしょう。もちろん、日米安保は残ったとしても本土まで撤退されては迅速な対応は取れませんし、連携も取れませんから、日本は在日米軍がいなくなって足りなくなった分と、米軍がいたことによる影響力の分の軍備の増強を求められます。これは日本が自衛をしなくてはならないということになります。

 その費用はいくらになるのでしょうか?そして、その増強する自衛隊の人は“日本人なのでしょうか?”

 前者は良く語られる話でありますので今更語ることはいいでしょう。しかし、問題の本質は後者にあるのではないでしょうか?
ただでさえ自衛隊は入る人が足りないという話はよく聞くのですが、増強しなければならない…となると、徴兵か傭兵にたよるかということになると思われます。しかし、前者は武力を敬遠しがちな日本人は多いので却下でしょう。更には、今の日本人は軍人として使えるのか(運動能力や精神的な面において)?運動能力は低下しているというデータがあり、学級崩壊などの問題が起きていた世代の子供達が軍隊の辛さについていけるのでしょうか?
 とすると、傭兵になるのでしょうが、他国から人間を連れてくるぐらいであれば、責任の所在がハッキリする在日米軍の方がましな気がします。しかも、今度は文句を言う相手はいません。不満のはけ口もない。

 とすると、米軍が守ってくれることは大きなことのように思えてきます。
日米安保を保持しつつ米軍が日本でトラブルがあったときに迅速に行動をとってもらえることは重要なのです。そして、“スープの冷めない距離”で対応してもらえるのであれば、一時的に経費は必要でしょう。それで思いやり予算が削減できるのでしょうから、何年でペイできるのか?も示すことが必要ではないでしょうか?現状あるものですから。私の記憶が確かであれば、6500億ぐらいですから、今回の移転で半額として計上して、約10年。1/4として約20年でペイできることになります。

 日本の依頼で出て行くのですから、経費の一部を負担するのは当然だと思いますし、今までの思いやり予算を一時金として払ったと考えると最大でも20年でペイできる(思いやり予算自体の是非は今回含みません。あるものは仕方ないのです。削減はできるでしょうが、よほど別のインセンティブがないと無くすことはできません。在日の利権とおなじです)事を考えると、そこまで高い物ではない気がします。中国へのODAの方が高いでしょう。在日米軍は日本の有事に戦う義務がありますが、中国へのODAはなにも見返りがないのですから。

 在日米軍が去る町の方々におかれましては、お喜びを申し上げると共に、土地を更地に戻す以上のことを国や自治体に求めていただきたくないと思います。あなた方が望んだ状態ですから。